方丈記覚えたところまで
ゆくかわのながれはたえずしてしかももとのみずにあらず
よどみにうかぶうたかたはかつきえかつむすびてひさしくとどまりたるためしなし
よのなかのひととすみかとまたかくのごとし
たましきのみやこのうちにむねをならべいらかをあらそえるたかきいやしきひとのすまいはせぜをへてつきせぬものなれどこれをまことかとたづねればむかしありしいえはまれなり
すむひともこれにおなじところもかわらずひともおおかれどいにしえみしひとはにさんじゅうにんがなかにわづかにひとりふたりなり
あしたにしにゆうべにうまれるならいただみずのあわにぞにたりける
しらずうまれしぬるひといづかたよりきたりていづかたへかゆく
またしらずかりのやどりたがためにかこころをなやましなにによりてかめをよろこばしむる
ひととすみかとむじょうをあらそうさまいはばあさがおのつゆにことならず
あるいはつゆおちてはなのこれりのこるといえどもあさひにかれぬ
あるいははなおちてつゆなおきえずきえずといえどもゆうべをまつことなし
われもののこころをしれりしよりよそじあまりのしゅんじゅうをおくれるあいだによのふしぎをみることややたびたびになりぬ
いんじあんげんさんねんしがつにじゅうはちにちかとよ
かぜはげしくふきてしずかならざりしよいぬのときばかりみやこのとうなんよりひいできてせいほくへといたる